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衝撃工学:機械機能研究室

研究内容


衝撃工学

衝撃エネルギー吸収のための傾斜機能シンタクチックフォームの開発

 樹脂材料にマイクロバルーン(中空微粒子)を充填したシンタクチックフォームと呼ばれる擬似的な発泡材料を開発し衝撃吸収部材への応用を検討している. シンタクチックフォームは母材樹脂・マイクロバルーンの組み合わせにより機械的特性を設計することができることから, 近年,軽量な衝撃吸収材料として注目されている.
 本研究では,マイクロバルーンの充填率を連続的に変化させた傾斜機能発泡材料の製造法を確立し,より優れた特性を有する衝撃吸収材料の開発を目的としている. また,優れた衝撃吸収特性を発現するための傾斜構造を解析的視点から検討を行っている.

高速衝撃下において優れた衝撃エネルギー吸収特性を有する衝撃吸収構造の開発

  衝突安全基準における衝突速度の向上や高速鉄道の登場により,より高速な衝突下における衝撃吸収特性の解明および向上を考える必要が出てきている. 衝突速度が遅い低速衝撃においては,衝突時の応力波や慣性の効果を無視することができ,準静的な圧潰挙動と近似しても差し支えないため, これまでの研究を基に衝撃吸収構造の設計が可能である. しかし,衝突速度が大きい場合,塑性応力波の伝ぱ現象が顕在化し,衝撃吸収構造の設計には新しい手法・概念を取り入れる必要がある.
 本研究では,高速衝撃下における衝撃吸収部材のエネルギ吸収特性および緩衝効果を数値解析的および実験的に解明し, 衝撃吸収構造の設計に資する有益な基礎情報を構築するとともに,これまで対象とされなかった高速域での衝撃吸収構造を設計し, その工学的応用についての検討を行っている.

ポアソン効果により高エネルギ吸収特性を発現する衝撃吸収構造の開発

 近年,低燃費化のための軽量化と衝突安全性の確保の両立を可能とする衝突安全技術が求められてきている. 通常,自動車等の緩衝領域は薄肉構造に連続塑性座屈を引き起こすことにより効率よくエネルギーを吸収する. また,発泡材料も薄肉構造と同様にエネルギー吸収材料として有用であり, 特に硬質な樹脂材料を母材としたシンタクチックフォームは単位質量あたりのエネルギー吸収量が極めて高く,薄肉構造と同等の性能を有しており, 圧縮変形下で大きなポアソン効果が生じる.
 本研究では,薄肉円筒に軽量なコア材として内挿したシンタクチックフォームのポアソン効果を効果的に利用することで, 衝撃軸圧縮荷重下で高いエネルギ吸収特性を発揮する衝撃吸収手法を提案し, 現代の輸送機器産業における軽量化・省スペース化と衝突安全性能を確保しなければならない厳しい技術的要求に対応でき得る技術構築を行っている.

動的構成式に関する研究

 衝撃荷重が作用する機械の設計には,衝撃荷重下でのそれらの弾塑性挙動を明らかにすることが必要であり, そのためには,材料の応力―ひずみ関係に生じる繰り返し硬化やバウジンガ―効果といった,複雑な塑性挙動を表せる衝撃弾塑性解析が必要である. そのためには,様々な負荷経路において材料の挙動を表現することが可能な,ひずみ速度依存型の構成式の確立が望まれる.
 そこで本研究では高ひずみ速度域で引張―圧縮の負荷経路の試験が可能な衝撃引張―圧縮試験機を設計,製作し, それを用いて試験を行うことによって,構成式の妥当性の検証を目的としている.

有限要素プログラムの開発

 衝撃荷重が作用する機械の設計には,衝撃荷重下でのそれらの弾塑性挙動を明らかにすることが必要であり, そのためには,材料の応力―ひずみ関係に生じる繰り返し硬化やバウジンガ―効果といった,複雑な塑性挙動を表せる衝撃弾塑性解析が必要である.
 本研究では,複雑な塑性挙動を表せるひずみ速度依存型の構成式を動的弾塑性有限要素法プログラムに組み込み, さまざまな変形挙動を弾性域と塑性域を特に区別することなく計算できる二次元弾性解析プログラムを作成することを目指している.

等価棒法による衝撃応力解析に関する研究

 本研究室では種々の機械や構造物を骨組構造とみなし,衝撃荷重を受ける三次元骨組構造の動的解析を行うプログラムの開発を行ってきた. このプログラムは骨組構造内の部材を一つの要素としてみなす解析手段であり,一般的に解析で用いられる有限要素法にくらべ,解析を容易にかつ短時間で行うことができる. 一方で,一次元伝ぱ理論に基づいているため,原則として丸棒にしか適用できない制限がある.
 そこで本研究では様々な部材を力学的性質が等価な丸棒に置換える等価棒理論を提案した. これは部材を力学的性質が等価な丸棒に置換えることで,一次元伝ぱ理論での解析を可能とする手法である. より多くの構造体の解析するため現在,種々の部材において実験を行い,等価棒法の適用範囲の検証を進めている.

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