北陸数論セミナー 過去の記録(平成24年度)

第143回 (平成24年12月20日 18:15〜)
講演 林彬 氏(金沢工業大学)
   Merkle-Hellman暗号のShamirの攻撃について
概要    Merkle-Hellman暗号とは最初期の公開鍵暗号の一つである。これには1)Shamirの方法、2)Lagarias-Odlyzkoの方法の2つの攻撃法がある。
   本講演ではShamirの攻撃法を、(S)Shamirの原著論文および(L)Lagariasの論文に基づいて紹介する。準備として公開鍵暗号とナップザック暗号について簡単に説明する。数学的には超増加数列bを乗数wと法M(以上が秘密鍵)によりモジュラ乗算変換した数列a(公開鍵)から秘密鍵と機能的に等価なb',w',M' を見出す,というアルゴリズムである。
第142回 (平成24年11月22日 18:15〜)
講演 岩堀雄樹氏(金沢大学自然科学研究科数物科学専攻M2)
       符号 (2,3) の直交群上の保型形式の空間について
概要    符号 (2,3) の直交群において,判別式 2N の極大整格子に関する保型形式を考える. N=1 (すなわち2次 Siegel 保型形式) の場合に青木宏樹氏が創始した方法を用いて, N=2,3 のときの保型形式の空間の構造を決定する.
 Jacobi 形式の空間を調べ, Maass 型リフトにより直交群へ持ち上げる.このリフトと Klingen 型 Eisenstein 級数で保型形式環が生成されていることを示す.
第141回 (平成24年11月8日 18:15〜)
講演 平林幹人氏(金沢工業大学)
       Jakubec による p 分体の相対類数公式の一般化
概要    2009 年、Jakubec は p 分体(p は奇素数)の相対類数を行列式で表す公式を2個挙げた。本講演ではその第一の公式を任意の円分体に拡張する。また、その行列式の符号を決定する。
第140回 (平成24年10月25日 18:15〜)
講演 山下浩氏(金沢大学人間社会研究域)
       S単数によるKummer拡大について
概要     Let K/k be a Galois extension of algebraic number fields with a Galois group G. Let S be a finite set of places of k containing every archimedian places. Let E_S be the group of S-units of K. We choose a normal subgroup G^* in G and fix it once for all. Denote by k_* the intermediate field corresponding to G^* . Let p be a prime number. We define a subgroup Q_p of E_S to be {x∈E_S : x^{p^N}∈k_*} for sufficiently large integer N.
   We study the value of a ratio|Q_p^H : Q_p^H∩k_*|=[k_*(Q_p^H) : k_*]. This ratio is a little more subtle to treat when p = 2 and k_* dose not contain √-1. We need a certain assumption concerning ramification of prime ideals dividing 2 in the subtle case.
第139回 (平成24年10月11日 18:15〜)
講演 中野伸氏(学習院大学理学部)
       代数体の類数可除性問題への楕円曲線論によるアプローチ
概要    類数可除性問題に対しては,元来,必要なデータを不定方程式としてまとめ,その解を用いて、目的とする類数や類群をもつ代数体を生成するという方法が取られてきました.不定方程式としてとくに楕円曲線が取れるならば,その算術を有効な武器として使うことができ,数論的により興味深いものとなります.このようなアプローチによる研究をいくつか紹介し,また2次体のペアの類数に関する最新の結果についても報告したいと思います。
第138回 (平成24年7月19日 18:15〜)
講演 高井勇輝氏(東京大学大学院数理科学研究科 GCOE特任研究員)
       CM体の相対類数の非可除性について
概要    素数pと総実代数体Fを一つ固定し、その上の総虚二次拡大K/Fで相対類数がpで割れないものがどれくらい存在するか、という問題を考えます。
 無限に存在することは、跡公式などを使って内藤浩忠氏により、素数に関するある仮定の下で、すでに証明されています。その後、Kohnen-Ono が重さ半整数の保型形式を使うことでFが有理数体の時に個数の下からの評価を与えました。

 本講演では、Fが有理数体上巡回拡大の仮定の下で重さ半整数の Hilbert 保型形式を使って得られた上記問題に関する講演者による最近の進展について紹介いたします。
第137回 (平成24年7月5日 18:15〜)
講演 谷口哲也氏(学習院大学 客員研究員)
     円分体の相対類数の仮説とデータ解析について
       (学習院大学 中島匠一氏,茨城大学 市村文男氏との共同研究)
概要    素数ベキ円分体の相対類数は素数円分体のそれとは因子の様相が異なる.相対類数に関する仮説を述べ,その検証のためのデータ解析について報告する.

   相対類数の値は急激に増大し数億桁にも到達するため,データ解析にも困難が伴う.今回はUNIXコマンドとパイプを組み合わせたシェルスクリプトでデータ解析処理を構築した.この方法にはマルチコアCPUを生かした並列処理を手軽に実現できるなど利点がある.しかし相対類数の値は極度に大きく,標準コマンドだけでは現実的な時間で終わらない.そこで多倍長処理専用コマンドを開発してデータ解析に投入した.講演ではUNIXコマンドによる多倍長整数処理,専用コマンドの工夫などの具体的方法に触れ,実演する予定である.
第136回 (平成24年6月21日 18:15〜)
講演 江上繁樹氏(芝浦工業大学システム理工学部)
     新谷生成関数の代数的性質(D.Solomonの論文を中心に)
概要   総実代数体のゼータ関数の特殊値の有理数性に関する新谷卓郎氏の研究を発展させ、そこに現れる指数型生成関数の代数的性質を論じたD.Solomonの論文
 Algebraic properties of Shintani's generating functions: Dedekind sums and cocycles of GL_2({\bf Q})、Compositio.Math.112(1998),
の概要を紹介し、私の興味を持っている点について主にお話したいと思います。

 余力があれば、私の昔のDedekind和や多重ゼータの研究、荒川氏の一般エータ関数との関係など(が、多分あるはずなので、もしあれば、そして準備が間に合えば・・)まで話を進めたいと思います。
第135回 (平成24年6月7日 18:15〜)
講演 藤井俊氏(慶応義塾大学理工学部 学振PD)
     {Z_p}^2拡大上の一部分岐拡大と岩澤加群のpseudo-null部分加群について
概要  pを奇素数とする。早稲田大学の尾崎氏は1997年に出版された論文の中で次のことを示している。
  pが完全分解し、Leopoldt予想が成立する総実体に対して、円分Z_p拡大上の最大不分岐アーベルpro-pガロワ群Xが非自明な有限部分加群を持つことと、円分Z_p拡大上の、最大p外不分岐pro-pアーベル拡大と、最大不分岐pro-pアーベル拡大が異なることは同値である。

  総実体のXの有限性を問うGreenberg予想の研究において、Xが非自明な有限部分加群を持つことさえ自明なことではなく、それが分岐によって特徴付けられることは興味深く感じられる。
  本講演では、pが分解する虚二次体上の{Z_p}^2拡大においても、尾崎氏の結果とまったく同じことが成立するという結果について話をしたい。(虚二次体では{Z_p}^2拡大上の岩澤加群がpseudo-nullであろうという 一般Greenberg予想があります)
第134回 (平成24年5月24日 18:15〜)
講演 岸康弘氏(愛知教育大学)
     2次体の類数の可除性と不定方程式
概要  ある不定方程式と2次体の類数の可除性との関連について述べる。また、いくつかの数値実験から得られた実2次体の類数の可除性に関する予想を紹介し、それについて議論する。
第133回 (平成24年5月10日 18:15〜)
講演 木村巌氏(富山大学理工学研究部)
      Boston-Ellenberg heuristicの紹介
概要    N. Boston and J. S. Ellenberg, Groups, Geometry and Dynamics: Volume 5, Issue 2, 2011, pp. 265-280, arXiv:1204.4242 の紹介を主に,関連した話題についてお話しします.
   素数p, 正整数g, 有限p群Γを固定します(Γについてはしかるべく条件がつきます).g個の素数の(順序付き)組Sをランダムに取ったとき,有理数体のSの外不分岐最大副p-Galois拡大の有理数体上のガロア群がΓと同型になるような「確率」を与えるものです.
第132回 (平成24年4月26日 18:15〜)
講演 平林幹人氏(金沢工業大学)
     Hasse の第二変形法による虚アーベル体の相対類数公式と
  Jakubec の論文の紹介
概要    前回,素数べき分体について Hasse の第二変形法による相対類数公式を与えた.今回はその公式を一般の虚アーベル体に拡張する.2009年,Jakubec は,ある行列式による公式を用いて素数分体の相対類数の上からの評価を与えた.この論文では他にも行列式による公式を与えている.これら2つの公式は今までにないタイプなので,ついでに紹介する.
第131回 (平成24年4月12日 18:15〜)
講演 若槻聡氏(金沢大学理工研究域)
     SL(2)の表現に関するヘッケの研究について(サーベイ)
概要    有限体上のSL(2)の作用が主合同部分群に関するカスプ形式の空間上に定義できる。その表現の既約分解において、ある二つの既約表現の重複度の差が虚二次体の類数になることがヘッケによって発見された。この講演では、そのヘッケの仕事についてサーベイする。