北陸数論セミナー 過去の記録(平成28年度)

第188回 (平成28年5月12日 18:15〜 )
講演    藤井 俊 氏(金沢工業大学)
    Some remarks on pseudo-null submodules of tamely ramified Iwasawa modules
   (千葉工業大学 伊藤剛司氏との共同研究)
概要     p を素数とする.総実体上の円分 Z_p 拡大の不分岐岩澤加群は、常に有限であろう、という Greenberg 予想があり、これまでに多くの研究がなされてきた。
 他方、近年、伊藤氏、水澤氏、尾崎氏らによって、円分的 Z_p 拡大上の馴分岐岩澤加群の研究が進められてきた。馴分岐岩澤加群では、有理数体上であっても、Greenberg 予想の類似は成立しないことが既に知られている。
 しかし、伊藤氏は、有理数体上の馴分岐岩澤加群に対して、Greenberg 予想よりも弱い主張、
  馴分岐岩澤加群が非自明ならば、常に非自明な有限部分加群を含む、
が常に成り立つことを指摘した。
 また、有限次代数体上の最大多重 Z_p 拡大の不分岐岩澤加群は常に疑零であろう、という一般 Greenberg 予想がある。伊藤氏の指摘を踏まえて、一般 Greenberg 予想の弱い形の主張が
馴分岐岩澤加群で成り立つか、という次の問題が考えられる:
 問題.最大多重 Z_p 拡大の馴分岐岩澤加群が非自明であれば、
     常に非自明な疑零部分加群を持つか?
 本講演では、伊藤氏による有理数体上での指摘を含め、虚二次体上における上記問題に関するいくつかの結果についてお話ししたい。
本講演の内容は千葉工業大学 伊藤剛司氏との共同研究である。
第187回 (平成28年4月28日 18:15〜 )
講演    若槻 聡 氏(金沢大学理工研究域)
            ジーゲル保型形式の次元公式
概要    まず一変数保型形式の基本的な事柄とその空間の次元公式について解説する.その後,ジーゲル保型形式の空間の次元公式について話す.
第186回 (平成28年4月14日 18:15〜 )
講演    野村 明人 氏(金沢大学理工研究域)
           (2,2)拡大体上のガロアの逆問題の不分岐解について
概要   ガロアの逆問題とは,代数体kと群Gが与えられたとき,k上のガロア拡大Lで そのガロア群がGと同型なものが存在するか?という問題である。 Gが有限p群の場合は,Scholz, Schafarevicにより肯定的に解決されている。 ガロア拡大L/kが不分岐に取れるとき,この拡大を逆問題の不分岐解という。
   講演の前半では,関連する問題を概観し,後半では, kが2次体や有理数体上の(2,2)拡大でGが位数p^3の非アーベルp群の場合について考察する。
(3月5日の愛知数論セミナーでの講演とほぼ同じ内容です)